ベルソムラとデエビゴの違いとは?|睡眠薬について
日本では成人の約3〜4人に1人が不眠に悩まされており、さらに全体の5%が睡眠薬を日常的に服用しています。そのなかでも、依存性や耐性のリスクが極めて低いため、広く処方されているのが「ベルソムラ」と「デエビゴ」です。
同じ系統に分類される2つのお薬ですが、実は得意とする症状や特徴には明確な違いがあります。本記事では、あなたが自分に合った正しい薬剤を選べるよう、2つの睡眠薬の違いを徹底的に比較・解説します。
参考:不眠症|厚生労働省
ベルソムラとデエビゴの違い

ベルソムラとデエビゴの大きな違いは、「寝つきの悪さへのアプローチ」と「薬の扱いやすさ」です。両者も含め、相違点を表にまとめました。
| ベルソムラ | デエビゴ | |
| 一般名 | スボレキサント | レンボレキサント |
| 主な効果 | 睡眠の維持(中途覚醒・早朝覚醒への対応) | 寝つきの悪さの改善 + 睡眠の維持(入眠障害と中途覚醒への対応) |
| 向いている人 | 夜中や朝方に何度も目が覚めてしまう方 | 寝つきが悪い方 |
| 即効性・催眠作用 | おだやか | 強め |
| 体内に残る時間 | 短め | やや長め ※翌朝の持ち越し眠気に注意 |
| 錠剤の分割・一包化 | 原則不可(吸湿性が非常に高く湿気に弱いため) | 可能(割線があり、他薬との一包化も容易) |
| 主な用量 | 3段階(10mg/15mg/20mg) | 3段階(2.5mg/5mg/10mg) |
どちらの薬剤も、脳を覚醒させている物質の働きをブロックして自然な眠気を誘う「オレキシン受容体拮抗薬」に分類されます。
従来の睡眠薬に比べて依存性や耐性のリスクが生じにくいのが特徴です。
主な違いである「効果の即効性」「翌朝への影響の出やすさ」「管理と使い勝手」「用量調節のしやすさ」の4項目について、くわしく解説します。
1. 効果の即効性
寝つきの悪さを改善したいなら、即効性の高いデエビゴが適しています。
デエビゴは服用してから体内で効果を発揮するまでの立ち上がりが速いため、「ベッドに入っても頭が冴えてなかなか眠れない」という入眠困難タイプの方と非常に相性が良いお薬です。
一方でベルソムラは、穏やかに効いていく特性を持っています。
そのため、布団に入ってから眠りにつくまでのスピード感を求めるよりは、寝つき自体はそこまで悪くないけれど「夜中に何度も目が覚めてしまう」といった、睡眠の維持に悩んでいる方に選ばれることが多いお薬です。
2. 翌朝への影響の出やすさ
デエビゴはベルソムラよりも成分が体内に残る時間が長く、翌朝に眠気が残りやすいです。
デエビゴの服用によって、起床後も頭がボーッとする可能性があります。そのため、翌朝に大切な仕事や車の運転を控えている場合などは服用をおすすめできません。
ただし、医師とよく相談し、適切な服用量を見極めれば日中の眠気は過度に心配しすぎる必要はないのでご安心ください。
3. 管理と使い勝手
他のお薬と一緒に1つの袋にまとめる「一包化」や錠剤を半分に割る調整ができるのはデエビゴだけの特徴です。
ベルソムラは非常に湿気に弱く、空気中の水分を吸うと品質が変わってしまいます。そのため、原則としてアルミシート(PTP包装)から事前に出すことができず、飲む直前に取り出す必要があります。
一方、デエビゴは湿気に強いです。サプリメントケースなどを活用して、複数の薬剤をまとめて管理したい方にとってはデエビゴの方が使い勝手が良いといえます。
4. 用量調節のしやすさ
体調に合わせて「ほんの少しだけお薬を増やしたい、減らしたい」という微調整に向いているのはデエビゴです。
デエビゴは、2.5mg・5mg・10mgと細かく規格が分かれているため、効きすぎや翌朝のふらつきリスクを抑えられます。患者様の年齢や体質に合わせて服用量をコントロールしやすいのはデエビゴの特徴です。
ベルソムラとデエビゴのどちらを選ぶ?

ベルソムラとデエビゴのどちらを選ぶべきかは「どのような不眠の症状で困っているか」によって決まります。
どちらも優れた新しい睡眠薬ですが、得意とするアプローチが異なるため、自分の症状に合った方を選ぶことが心地よい眠りを取り戻す大切なステップです。
睡眠の維持が得意な「ベルソムラ」
寝つき自体は悪くないものの、夜中や早朝に目が覚めてしまうという方はベルソムラが向いています。
【ベルソムラが向いている人チェックリスト】
□寝つきは良いが、夜中に2回以上目が覚める
□朝、予定よりかなり早く目が覚めてしまう
ベルソムラは中途覚醒や早朝覚醒のケアが得意なお薬です。
入眠を促すパワーはデエビゴに比べるとマイルドですが、途中で起きることなく、朝まで安定した睡眠を維持したい人に適しています。
寝つきの悪さもカバーする「デエビゴ」
布団に入っても頭や体が冴えてしまい、そもそも最初に眠りにつくことができない「入眠障害」でお困りの方はデエビゴが向いています。
以下のチェックリストに当てはまる方は、特にお薬の特徴に合致している可能性が高いです。
【デエビゴが向いている人チェックリスト】
□布団に入ってから1時間以上眠れない
□寝つきも悪いし、夜中にも目が覚める
□少ない量から様子を見て調整していきたい
デエビゴは寝つきの悪さと夜中の目覚めの「両方」をバランスよくカバーできるのが特徴です。
即効性が高いので、「時計ばかり見て焦ってしまう」という方に選ばれています。
デエビゴで「悪夢」を見るって本当?

デエビゴの副作用として悪夢が報告されています。
デエビゴもベルソムラも「レム睡眠」の時間を増やす共通の特性があるため、必然的に鮮明な夢を見やすくなるのです。
とくに催眠作用の立ち上がりがシャープなデエビゴは悪夢を見やすいとされています。
ただし、悪夢は薬の飲み始めの時期(数日〜数週間)に多く、体が慣れると自然に落ち着くケースがほとんどです。どうしてもつらい場合は、医師に相談して減量するなどの選択肢があるのでご安心ください。
ベルソムラ・デエビゴは「食後」に飲んでもいい?

どちらのお薬も食後の服用はNGです。 胃の中に食べ物が残った状態で服用すると、成分が血液中に吸収されるスピードが大幅に遅れてしまうためです。
お薬の吸収が遅れると、せっかく布団に入っても「いつまでも全く眠気が出ない」という事態に陥ってしまいます。そればかりか、本来効いてほしい時間から後ろにズレてしまい、翌朝になってから強くお薬の効果が現れる「持ち越し眠気」の原因にもなりかねません。
ベルソムラやデエビゴの正しい効果をしっかり実感するためには、夕食から少なくとも2時間以上はあけ、「電気を消してベッドに入る直前」のタイミングで服用することがとても大切です。
ベルソムラ・デエビゴの切り替えは可能?
医師の診断のもとであれば、2剤間を切り替えることは可能です。
例えば、「ベルソムラに変えて夜中の目覚めは減ったけれど、布団に入ってから眠るまでの時間をもう少し短縮したい」という場合にデエビゴへと変更するケースは少なくありません。
反対に、デエビゴによる翌朝への眠気残りが気になるときに、よりマイルドなベルソムラへ切り替えることもできます。
ただし、切り替えの場合には安全性を担保するため、必ず医師の診察のもとで実行してください。
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よくある質問(FAQ)
Q.ベルソムラとデエビゴはどちらが強い薬ですか?
A.単純な強弱ではなく「得意分野」が異なります。入眠はデエビゴ、睡眠維持はベルソムラが得意です。個人の体質や持病によって医師が最適に判断します。
Q.ベルソムラとデエビゴは併用してもいいですか?
A.原則として併用はできません。2つを同時に飲むと作用が重複し、翌朝の強い眠気やだるさ、ふらつき、悪夢などの副作用リスクが大幅に高まる危険があるからです。
Q.ベルソムラとデエビゴを切り替えるとき、休薬期間は必要ですか?
A.同じ系統のお薬であるため、原則として薬を飲まない期間(休薬期間)を設ける必要はありません。ただし、体内に残る成分を考慮し医師が用量を慎重に決定するため、必ず指示通りに服用してください。
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