出産するか、中絶手術を受けるか迷われている方も、やむを得ず中絶を受ける方も、気をつけていただく必要があるのが中絶手術のタイミングです。中絶には、手術が出来る期間が決められています。中絶手術が受けられる期間についてくわしく解説します。
「中絶はいつまで?」手術ができる期間が過ぎたらどうなるの?
出産するか、中絶するか迷われている方も、やむを得ず中絶手術を受ける方も、気をつけなければならないのが、中絶手術のタイミングです。「手術は怖いから、もう少し後にしたい……」「決断できなくて、伸ばし伸ばしにしている」もし、こういった方がいらっしゃったら要注意。中絶には、手術可能な期間が決められているからです。
中絶手術ができる期間は、法律によって定められています。その期間は、妊娠21週6日までです。
この中絶期間を定めている法律を「母体保護法」といいます。母体保護法は、母性の生命健康を保護する目的で定められた法律です。母体保護法は日本の法律なので、これを破ると罪に問われます。つまり、妊娠22週を過ぎたら中絶手術を行うことも、受けることもできないということです。
中絶は手術が可能な期間の妊娠22週未満(21週6日まで)を、初期中絶と中期中絶という2つの期間に分けて行います。初期中絶と中期中絶には、明確な違いがあるので、確認していきましょう。
ページの監修医師
池袋アイリス婦人科クリニック
加村和雄(かむらかずお)院長
1998年埼玉医科大学医学部卒業。病院やクリニックにて、日本産科婦人科学会専門医として研鑽を重ね、池袋アイリス婦人科クリニックを開院。
目次
妊娠12週未満:初期妊娠中絶手術
妊娠12週未満の中絶手術を初期中絶といいます。“胎のう”と呼ばれる胎児を包む袋のようなものを超音波検査で確認してから、手術を行います。胎のうが確認できるのは、妊娠4週から5週目頃です。
妊娠4週というと「生理がこない……」と皆さんが気づく頃と重なります。妊娠検査薬で検査が可能な期間なので、それによって「妊娠した」と気づく方が多いです。
初期中絶手術は11週6日目まで可能ですが、なるべく早い段階で手術をした方が、お身体への負担が少なくなります。お腹の中で胎児が育って大きくなればなるほど、負担が大きくなってしまうのです。
初期中絶手術は、ソウハ(掻爬)法もしくは、吸引法という方法で行われます。さらに、吸引法にはEVA(自動吸引法)とMVA(手動吸引法)があり、それぞれ特徴が異なります。手術の方法については、 こちらのページに、くわしく書いているので、ご参照ください。
一般的に初期中絶は入院の必要がなく、日帰り手術が可能です。また、中期中絶に比べると費用面でも負担が少なくて済みます。加えて、役所への届け出などをする必要がなく、精神的負担も比較的軽く済むといえるでしょう。
初期中絶手術 |
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妊娠12~22週未満:中期妊娠中絶手術
妊娠12~22週未満の中絶手術を中期中絶といいます。中期中絶になると、初期中絶と異なり入院加療が必要です。それだけ、お身体への負担が大きくなります。
中期中絶手術は、手術の前に子宮口を開く“術前処置”を行い、人工的に陣痛を起こし流産させる“流産処置”をします。子宮頸管や子宮口を開く術前処置は、個人差はあるものの非常に強い痛みを伴う処置です。また、子宮収縮剤を使用して陣痛を起こすので、その時の痛みもあります。
中期中絶の入院期間は、通常であれば4~6日間となっていますが、子宮頸管・子宮口の開き具合や陣痛の進み方などによって異なり、一概には言えません。
さらに、中期中絶になると「死産届」と「死産証書」が必要となり、役所に届け出を出して、胎児の埋葬許可証を発行してもらう必要があります。入院して手術を行い、それが済むと各種手続きをしなければならず、精神的負担も大きくなります。費用面でも初期中絶に比べて高額になる ので注意が必要です。
中期中絶手術 |
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中期中絶手術を取り扱わない理由
近年、中期中絶手術による死亡事故が、ニュースで取り上げられていることをご存じの方もいらっしゃるかもしれません。中期中絶手術は、母体にかかる負担が肉体的・精神的に大きいのはご説明したとおりで、適切な設備を有する医療機関で、処置が慎重に行われなければ、非常に危険です。そういったことを踏まえ、当院では、妊娠12週を超える方の中期中絶手術を一切承っておりません。
そうでなくても、中絶はあらゆる面で患者様にかかるご負担が大きいです。患者様の心と身体の健康=メンタルヘルスケアを第一に考えるクリニックとして、中絶をご検討する患者様には、初期中絶手術をおすすめします。
中絶できる期間が過ぎたときの対応は?
もし、妊娠22週を超えてしまったら、どのように対処すればいいのでしょうか?
前述したように、日本では母体保護法という法律で、中絶は妊娠22週未満と定められています。その期間を過ぎてしまうと、中絶を行った医師も手術を受けた患者様も罪に問われます。つまり、“出産”するしか選択肢がないということです。
「環境に問題があり、赤ちゃんを育てられない」「金銭的事情で育児は不可能」こういったケースでは、母子共に不幸になってしまう……、と不安になる方もいらっしゃるでしょう。家庭事情・金銭的事情でやむを得ず赤ちゃんが育てられない場合に、特別養子縁組制度や里親制度があります。
万が一、中絶手術ができなかった、間に合わなかったときは、これらの制度を使用することを検討しましょう。
迷っていても早めの受診を!
妊娠したとわかったら、出産する中絶するに関わらず、早い段階で婦人科への受診が必要です。もし、中絶手術を望まれるのであれば、尚さら早め早めの行動が求められます。
中絶手術を受けるには、定められた期間があること、初期中絶と中期中絶には大きな違いがあることなどを、しっかりと把握し、ご自身が納得のいく選択をしてください。当院は、迷われている方ももちろんご相談いただけます。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
中絶期間のよくあるご質問
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中絶手術はいつまで可能ですか?
中絶手術が可能な期間は、妊娠22週未満(21週6日まで)です。この内、妊娠12週未満(11週6日まで)が初期妊娠中絶可能な期間となっており、池袋アイリス婦人科クリニックで中絶ができるのも、この11週6日までとなっています。
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中絶期間を過ぎたらどうなりますか?
中絶期間を過ぎてしまうと、中絶手術を受けることはできません。そのため、出産するしか選択肢はなくなります。
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人工中絶は22週になると、なぜできないのですか?
中絶ができる期間である妊娠22週未満は、法律である母体保護法によって決められています。妊娠22週を過ぎると、胎児が母体外においても、生存できるとされているからです。1976年に妊娠24週未満に、1991年3月に現行の妊娠22週未満に改められました。
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妊娠12週目です。中絶手術はできますか?
中絶手術自体を受けることは可能ですが、中期中絶手術という手術になります。中期中絶になると、母体の負担が大きくなるだけでなく、経済的にも負担が大きくなります。また、役所への死産届といった手続きも必要です。
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中絶が決断できないです。どうしたらいいですか?
出産か中絶か迷われている方も、一度、池袋アイリス婦人科クリニックにご来院ください。妊娠週数を確認することをおすすめします。妊娠週数だけでも確認しておかないと、もし、中絶手術を決断したときに、期間が間に合わないといった問題が生じる可能性があります。出産を決断なさったときには、分娩設備のある産科への紹介状を書くことも可能です。どうぞ、安心してご相談ください。
INFORMATION
- 2024/12/06
- 日曜日・月曜日は休診日となります。 ※12月27日(金)は休診日となります。 12/29(日)・12/30(月)・1/5(日)・1/19(日)・1/26(日)は診療を行っております。