産後の生理がこない原因

Postpartum

産後の生理について

「出産の後に生理がこない……」と不安に思う方も多いかもしれません。お産の後、生理はいつ頃くるのでしょうか?産後生理が再開しないと、次の妊娠への影響も気になりますし、避妊をいつしなければならないのかはっきりわからず困惑してしまう方もいるでしょう。さらに、産後の生理は状況が変わって、今までと異なるかもしれません。

ここでは、そんな疑問を解消するために、産後の生理についてくわしく解説します。

ページの監修医師

ページの監修医師加村和雄院長

池袋アイリス婦人科クリニック 加村和雄(かむらかずお)院長

1998年埼玉医科大学医学部卒業。病院やクリニックにて、日本産科婦人科学会専門医として研鑽を重ね、池袋アイリス婦人科クリニックを開院。

目次

産後すぐに生理がこない原因!

産後すぐに生理がこない原因!

産後すぐ生理がこない理由は、プロラクチンというホルモンが原因であるとされています。プロラクチンとは、授乳に欠かせない母乳の分泌に深く関わるホルモンです。このプロラクチンが多く分泌されていると、排卵が起こらず、生理がきません。この産褥期(さんじょくき/出産後)の無月経を「授乳性無月経」といいます。

「おっぱいを飲んでいる小さい赤ちゃんがいるなら、まだ次の妊娠や出産はできませんよ」と身体が教えてくれているようです。プロラクチンは赤ちゃんが母乳を吸う刺激(吸啜刺激/きゅうてつしげき)で分泌されるので、授乳回数が多いうちは生理再開まで今しばらく時間がかかるといえるでしょう。

また、産後すぐはお母さんの栄養状態・子宮の状態がいいとはいえません。そのため、身体は妊娠前の状態に戻そうと必死に回復中です。このことも生理がこない原因の一つといえます。

出産後の生理はいつごろから?

出産後の生理の再開はいつごろから?始まりの兆候は?

出産後の生理の再開について、個人差が大きく一概にいうことはできません。しかし、多くの場合、産後半年から1年くらいで生理が再開するようです。生理が再開するきっかけとなるのは、赤ちゃんの離乳食の始まりや断乳というケース。ご説明したとおり、生理にはプロラクチンというホルモンが関係しており、これは赤ちゃんがお乳を吸うことで分泌されます。離乳食が始まったり、断乳が進んだりすると、プロラクチンの分泌が減っていき、排卵が促され生理が再開する仕組みです。生理が再開されるときの兆候は、あまりはっきりわかることは少ないとされています。しかし、いつもの生理と同じく、おりものが白っぽくなり量が増えたというような兆候を感じる方もいます。

そうはいっても、生理の再開には母体の回復状況や個人差がかなり影響するため、産後半年はあくまでも目安。出産後1年位は生理がこなくても、そこまでナーバスになる必要はないでしょう。

産後の生理不順の原因

出産後の生理がきたと思っても、順調に生理が毎月やってくるとは限りません。産後は、生理不順になりやすいとされています。なぜ、産後の生理は不順になりやすいのでしょうか?

無排卵月経?産後は排卵が起きにくい

多くの場合、産後すぐの生理は無排卵でおこる無排卵月経です。出産後時間が経つにつれて、卵巣の機能も正常に戻っていき、きちんと排卵のある月経になっていくのですが、妊娠・出産の影響で卵巣も疲れています。生理が再開してすぐは、無排卵だったり排卵していたりする可能性があり、どうしても生理不順になりやすいといえるでしょう。

さらに、生理はプロラクチンの分泌状況にも左右されるので、赤ちゃんがおっぱいを吸う機会が多かったり、少なかったりするだけで排卵も変動する可能性があります

育児ストレスということも…

育児ストレスということも…

生理を左右するホルモンはプロラクチンだけではなく、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)というホルモンも深く関与しています。この2つのホルモンは、脳の視床下部がコントロールしているのですが、視床下部はストレスの影響を受けやすい部位です。

育児が始まり、以前と生活のリズムが大きく変わると、睡眠不足やストレスが溜まり、ホルモンバランスが崩れてしまうのです。ホルモンバランスが乱れると、結果的に生理不順につながります。

産後生理の気になる症状

産後の生理は、妊娠前とどう様子が変わるのでしょうか?生理が重くなる?軽くなる?と不安に思う方も多いでしょう。ここでは、生理痛や月経量の変化についてくわしく見ていきます。

生理痛

産後の生理痛がひどくなる原因には、まずホルモンバランスの変化が挙げられます。生理痛に関与する物質であるプロスタグランジンが多く分泌されていると、それだけ痛みも強くなるのです。また、骨盤の歪みが原因で骨盤内の血行が悪くなり、腹痛や腰痛を引き起こすことがあります。3つ目は、冷えとストレス。体力が消耗している産後の時期に、授乳や生活リズムの変化で寝不足やストレスが増えてしまうと考えられるのです。自律神経も乱れてしまい、身体が不調に傾き、余計に生理痛が悪化してしまうといえます。

月経量の変化

経血量が多くなった・少なくなったという月経量の変化も、産後の生理で起きやすい変化です。この月経量の変化もホルモンバランスの変化や乱れが原因のことが多くなっています。あまりにも月経量が多い場合は、婦人科系の疾患や貧血になる可能性があるため、産科・婦人科クリニックを受診してください。

産後生理が来なくても妊娠するの?

「産後の生理がくる前に妊娠した」という話を耳にしたことはありませんか?産後は、排卵時期が不明確です。そのため、避妊なしで性行為を行ってしまうと、予期せぬ妊娠につながります。出産後すぐ2人目3人目とお子さんを望んでいる場合は良いのですが、そうではない場合には注意が必要です。

妊娠を望まないときは?

妊娠を望まないときは?

次の妊娠を望まない場合の避妊方法について考えていきましょう。まず、授乳中はピルが内服できません。母乳で育児のお母さんは、ピルが選択肢から外れます。この場合おすすめの避妊法が、IUSと呼ばれる避妊リング/ミレーナです。ミレーナなら、内服と違いホルモン剤による薬剤の血中濃度が授乳に影響ないとされており、授乳中のお母さんでも使用することができます。

また、経産婦さんの場合、子宮口が開きやすいのでミレーナを挿入するときの痛みが少ないというメリットもあります。女性主体の避妊を検討している方は、ミレーナを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?もちろん、池袋アイリス婦人科クリニックでもミレーナを取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。ミレーナについて、こちらのページにくわしく解説しております。ぜひ合わせてご参照ください。

病院受診のタイミングは?

産後の生理の異常で病院を受診するタイミングは、患者様の状態・状況によって変化します。産後すぐに次のお子さんが欲しい場合は、生理開始の時期を早めに見極めたいと考えますし、そうでない場合は生理の様子を1年位気長に待とうと考えるかもしれません。

生理が始まっているときは、「経血量が多すぎる」「少なすぎる」「生理痛がひどく生活に支障がある」などのケースが病院受診のタイミング。「なにかおかしい」と感じたら受診するというスタンスでいるといいでしょう。

「産後生理こない」どのくらい大丈夫?

産後はまだお母さんの身体が不安定です。授乳中の場合は、生理再開まで時間がかかることを覚えておいてくださいね。産後の生理には個人差があり、1年位は様子を見ても問題ないとされていますが、いつ排卵が起こってもおかしくありません。次のお子さんをご希望でない場合は、必ず避妊をしましょう。もし、産後生理で不安なこと、不明なことがあったら、お気軽に池袋アイリス婦人科クリニックにご相談ください。

産後の生理に関するよくあるご質問

  • 母乳が出ている限り、生理はこないのですか?

    いいえ。母乳が出ていても、プロラクチンの分泌が少ない場合は排卵が起こって、生理が始まります。そのため、離乳食の始まりや断乳の開始などで徐々に母乳量が減っても生理がくるのです。

  • 出産後1年経っても生理がきません。受診すべきですか?

    一概にはいえません。それはお母さんの状況に個人差があるからです。母乳をたくさんあげているお母さんと、完全ミルクのお母さんではホルモンの状態が異なります。また、生活環境・ストレスといった要因も人によりさまざまです。ご不安があるときは、迷わず受診することをおすすめします。お気軽に池袋アイリス婦人科クリニックにご相談ください。

  • 産後、生理がきたのですが量が少なく心配です。病気でしょうか?

    病気であるとはいい切れません。産後すぐの生理は、無排卵月経のことが多く、月経量も人によってさまざまです。少ない生理が長く続く、生理がきたりこなかったりするなど、不安な症状がある場合には、一度池袋アイリス婦人科クリニックにご相談ください。病気でも病気でなくとも、不安なことは取り除いていきましょう。

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2024/03/01
3/10、3/20、3/24、3/31、4/21、4/28 は休診日です。