排卵から生理までの日数は何日?

ovulation

排卵と月経(生理)は、女性のライフサイクルに欠かせない大切な身体の仕組みです。月経は出血を伴うために周期を把握しやすく、その機能ついてもご存じの方は多いと思います。では、排卵はどうでしょうか?

今回は、妊活や避妊にとって大事な排卵の仕組とサイクル、月経との関係についてご説明します。

ページの監修医師

ページの監修医師加村和雄院長

池袋アイリス婦人科クリニック
加村和雄(かむらかずお)院長

1998年埼玉医科大学医学部卒業。病院やクリニックにて、日本産科婦人科学会専門医として研鑽を重ね、池袋アイリス婦人科クリニックを開院。

目次

排卵から生理までの日数は?

排卵から生理までの日数は?

一般的に、女性は排卵から約14日後に月経(生理)がきます。月経のおおよそ何日前に排卵日がくるかは、月経周期によって異なるため、【自分の月経周期-14日】の計算が必要です。

例えば、月経周期が28日の方は、排卵の約14日後に月経が始まり、月経開始から約14日後に排卵が起こります。月経周期が33日の方は、同じく排卵の約14日後に月経が始まり、月経開始から約19日後に排卵が起こります。月経周期の長い・短いは、月経初日から排卵までの日数が長いか短いかによって変わるというわけです。いずれも大まかな日数のため、よりくわしい排卵日を知りたい方は、池袋アイリス婦人科クリニックで経膣超音波エコー検査をお受けください。

排卵とは?生理との関係について

排卵から生理までの日数は?

そもそも排卵とは、成熟した卵子が、卵子を育てるための袋である“卵胞”をやぶって、“卵巣”から出てきた状態を指します。卵巣を出た卵子は卵管に入り、受精のために精子がくるのを待ちます。排卵は前の月経から次の月経までの期間に1度あり、このタイミングが「排卵日」です。

子宮は排卵日にあわせて子宮内膜を厚くし、卵子が精子と出会うことでできる受精卵のためのベッドを用意します。排卵日後に卵子が受精しなかった場合は、厚くなった子宮内膜が不要になり、剥がれ落ちて、月経として外に排出されます。月経が終わると、再び成熟した卵子が卵巣の外に飛び出して、次の排卵が起こるというわけです。

卵子は精子と違い、どんどん新しく作られていく細胞ではありません。女性は、約200万個の卵子を持って生まれますが、排卵を通して年齢を重ねるごとに、徐々にその数を減らしていき、50歳前後でなくなります。この際に起こるのが、「閉経」です。

排卵が遅れると生理も遅れる?

妊娠をしていない場合、月経(生理)は排卵してから約14日後に起こるため、ピルなどの服用で排卵が遅れた場合は、月経も遅れるケースがあります。卵巣や子宮の疾患がある際は、排卵や月経の遅れが連続して起こるほか、排卵痛・月経痛が強く出るなどの症状につながるため、早めの受診が必要です。

排卵が月経開始から21日目以降に起こる状態を「遅延排卵」と呼びます。遅延排卵は、原因となる疾患がない場合や、妊娠に大きな問題を抱えていない場合は、急いで治療をする必要はありません。

排卵期に起こる6つの症状

  • 1.排卵痛、腰痛
  • 2.排卵出血やおりものの増加
  • 3.体温の変化によるだるさ、眠気
  • 4.イライラや気分の落ち込み
  • 5.めまいや頭痛
  • 6.胸の張り、便秘、肌荒れなど身体の不調

排卵期には、上記のような症状が起こることがあります。排卵日だけでなく、その前後にも症状が現れやすい時期です。

1.排卵痛、腰痛

排卵痛がある方は、下腹部や腰に月経痛のような痛みを感じます。これは、卵子が卵巣の壁を突き破って外に飛び出す際に、卵巣が少し傷つくためです。

排卵は交互に左右の卵巣から行われるので、痛む場所が毎月異なることもあります。排卵時に強い痛みを感じ、鎮痛剤が手放せない場合は、卵巣や子宮の疾患が考えられるため、早めにクリニックに相談しましょう。

2.排卵出血やおりものの増加

排卵日が近づくと、1~3日間に少量の出血が見られたり、粘り気のある白~クリーム色のおりものが増えたりします。出血とおりものが交じって、ピンクや茶褐色のおりものが下着に付着することもあります。

排卵の出血は、おおよそ月経と月経の間に起こるため、中間期出血とも呼ばれています。排卵出血は病気ではないので、大量の出血が続かない限り治療は不要です。

3.体温の変化によるだるさ、眠気

排卵は、基礎体温が低温から高温に移る付近に起こります。排卵日を迎えると、基礎体温が上がり高温期に入りますが、その際に倦怠感や眠気を感じる女性も少なくありません。

また、排卵後に分泌が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)が分解されると、眠気を強くする物質「アロプロゲステロン」が発生します。日常生活に支障をきたしている方は、低用量ピルの服用で改善がみられるケースもあるため、クリニックに相談しましょう。

4.イライラや気分の落ち込み

排卵日前後はホルモンバランスが崩れやすく、この体調の揺らぎが気分の変動を引き起こします。ホルモンバランスの安定のためには、ビタミンやミネラルが豊富な食事、適度な運動、質の良い睡眠が有効です。

しかし、これらがイライラや落ち込みのせいで達成できないことも、もちろんあります。過剰に自分を責めては逆効果になってしまいますので、ハーブティーを飲んだり、ゆっくり入浴したりと、ご自身が心地良いと思える範囲から改善をしていきましょう。

5.めまいや頭痛

排卵期や月経開始前後は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の急激な低下により偏頭痛やめまいが出現しやすい時期です。エストロゲン低下に伴う脳内物質「セロトニン」の減少で、脳内血管が拡張し、痛みが起きている可能性が考えられます。

鎮痛剤を服用するほか、血管を拡張してしまうアルコール、チョコレート、チーズなどは避け、強い光や大きな音がない環境で身体を休めましょう。

6.胸の張り、便秘、肌荒れなど身体の不調

排卵期は、受精卵が着床しやすい、子作りに適した環境を体内で整えます。その際に、乳腺内の血管が拡張して乳房が張るほか、腸内水分の吸収や、腸のぜん動運動の抑制で便秘が起こります。

また、排卵後から月経直前までは皮脂の分泌が増えるため、毛穴の詰まりや、肌荒れが発生することもあります。

排卵障害について

排卵までの過程に問題があり、卵子が育たない、もしくは育ってもうまく排卵が起こらない状態を「排卵障害」といいます。排卵障害があると、月経(生理)が不規則になったり、欠如したりするほか、不妊症の原因にもなります。

排卵障害の原因

排卵障害の原因は複数あります。排卵障害によって月経に異常が現れるケースも多くあるため、月経に違和感を覚えたら、お早めにクリニックにご相談ください。

多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん/PCOS)

排卵障害で特に多い疾患で、卵巣の発育に時間がかかり、排卵が滞っている状態です。

月経周期が長い(35日以上)ことや、順調だった月経周期が不規則になることで気付く方が多く、にきびが多い、やや毛深い、肥満体型であるなどの特徴が見られる場合もあります。

高プロラクチン血症

プロラクチンは、母乳を作るために欠かせないホルモンです。出産や授乳をしていないにもかかわらず、このホルモンの数値が高い状態を、高プロラクチン血症と呼びます。

自覚症状として、乳房の圧迫されるような痛みや、乳首強く押した際に、妊娠状態ではないのに母乳が出る、などが挙げられます。

視床下部機能障害

脳の一番奥にある視床下部は、大幅な体重の低下や強いストレスを感知すると「今、妊娠をすると生命が危険である」と判断して、排卵をはじめとした生殖機能を停止させます。

体重減少が激しいほど卵巣機能は弱まり、回復も困難になる傾向があります。ホルモン治療をせずに、体重や体脂肪の増加で改善することが多い障害です。

下垂体機能障害

自律神経に関係している視床下部に対し、下垂体はホルモン分泌を司る部位です。卵胞の発育を促すホルモンである卵胞刺激ホルモンや、排卵を促す黄体刺激ホルモンの分泌が滞ると、排卵がスムーズに行われません。

主な原因として炎症 、腫瘍、手術が挙げられ、治療は薬剤の服用や注射によって行います。

治療には飲み薬や排卵注射

排卵障害が認められた場合、治療には排卵誘発剤の服用や注射を行います。症状の程度によりますが、最初は内服から始め、効果が現れない場合に注射治療に変更するケースが多いです。ご不安な方は、まずクリニックで正確な診断を受けましょう。

排卵日の妊娠確率

排卵日の妊娠確率

排卵日の6日前から排卵日の1日後までに性交し、妊娠が成立する確率は29歳以下の女性で約30~50%です。勘違いされがちですが、排卵日にのみ妊娠確率が急激に高まるわけではありません。精子は長くて1週間、卵子は排卵後24時間程度生きているため、排卵日前後の性交で妊娠が可能です。この時期の妊娠確率は年齢が若いほど高く、30~35歳頃から徐々に下降傾向になります。

月経周期での計算のほか、より正確な排卵日を知るためには、基礎体温の記録や排卵検査薬の使用も有効です。

排卵検査薬とは

排卵検査薬は、排卵前に現れる尿内のLHサージ(黄体化ホルモンの急上昇)を検出し、妊娠しやすい日を示す検査薬です。

一般的に、次の月経予定日の16日~17日前(予定排卵日よりも2日~3日前)から検査を開始し、検査開始日から1日1回、ほぼ同じ時間帯に行うことが推奨されています。詳しい使い方はそれぞれの添付されている説明書を読んで、正しく検査を行いましょう。

排卵検査薬での妊娠判定は正確?

結論からお伝えすると、排卵検査薬での妊娠判定は正確ではありません。排卵検査薬が尿から検知するホルモンはLH(黄体形成ホルモン)サージですが、妊娠中は身体からHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という別のホルモンが分泌されます。

このHCGホルモンはαとβのサブユニット(単一のタンパク質分子)から成り、このαサブユニットがLH(黄体形成ホルモン)と似ているため、排卵検査薬が稀に陽性を示すことがあります。

こういった理由から、「排卵検査薬でも妊娠が分かる」という誤った情報が広まってしまったのではないかと考えれます。妊娠を知るためには、妊娠検査薬を正しく使うほか、婦人科クリニックで検査を行い、診断を待ちましょう。「生理が遅れている」「乳房が張って痛む」など妊娠初期の症状がありご不安な方は、こちらのページもご覧ください。

ピルで排卵日を遅らせる・早める方法

低用量ピルは、月経だけでなく排卵をコントロールすることが可能です。服用中は排卵が抑制されるため、適切な服用で高い避妊効果が得られます。

排卵を遅らせて月経を移動する

低用量ピルは一般的に、21日間ホルモンが配合された錠剤を服用して排卵を抑制し、7日間の休薬期間(もしくは偽薬の服用)で月経を発生させています。

この7日間の休薬期間を設けず、連続してホルモンが配合された錠剤を飲むと、排卵抑制状態が続き、あわせて月経も遅らせることが可能です。

ピルで排卵を早める方法は休薬のみ

低用量ピルは排卵を抑制する効果があるため、服用中に排卵を促すことはできません。

低用量ピルを数カ月連続して服用していた場合、服用中止の約14日後に排卵が起こりますが、通常の排卵周期に戻るには、最長で3カ月が必要です。妊娠を希望する場合は、主治医と相談のうえ、低用量ピルの服用期間や中止タイミングを決めてください。

池袋アイリス婦人科クリニックで取り扱いのあるピル

ラベルフィーユ28
マーベロン28
ファボワール28
アンジュ28
2,200~2,300円

どの低用量ピルがご自身に適しているかは、患者様のお悩みやライフスタイルによって異なるため、医師と相談のうえ、処方が行われます。

低用量ピルは避妊目的の場合、保険が適用されませんが、月経困難症と診断された場合には、保険適用での処方が可能です。月経時の腹痛や腰痛、月経周期の異常、PMS(月経前症候群)などにお悩みの方は、お気軽に池袋アイリス婦人科クリニックにご相談ください。

排卵日に関するよくあるご質問

  • 排卵しないのに生理がくることはありえますか?

    月経時の出血があるにもかかわらず、排卵が伴っていない状態を「無排卵月経」と呼びます。月経周期が著しく短い、もしくは長い、基礎体温が一定で変化しない、避妊していないのに1年以上妊娠しないといった場合は、無排卵月経の可能性があります。生活習慣が要因となっていることも多いため、まずは生活習慣を見直し、ご不安な点があればすぐにクリニックにご相談ください。

  • 排卵痛がいつもより痛いです。激痛を感じるのですが、痛み止めの薬で治まれば受診は不要ですか?

    排卵痛は多くの女性に見られる症状です。しかし、鎮痛剤を服用するほどの激痛を感じる場合は、卵巣嚢腫や子宮内膜症など、婦人科系の疾患を発症している可能性があります。症状が重い場合や、毎月強い痛みを感じる場合は、早めにクリニックを受診してください。

  • 妊活中ですが、排卵確認後なのに体温が上がりません。なにかの病気でしょうか?

    精度の高い検査を行い、排卵が確認できているようであれば、妊娠に大きな問題はないと考えられます。基礎体温はあくまで目安であり、睡眠不足や栄養不足など、心身のストレスによっても変化します。排卵後の低温期が毎月連続する、月経周期が極端に短い、もしくは長いなどの症状がある場合は、池袋アイリス婦人科クリニックにご相談ください。

  • 排卵チェックのための排卵検査薬(排卵チェッカー)は有効ですか?

    はい。尿をかけ、短時間で排卵を確認できる排卵検査薬や排卵日予測検査薬は、排卵のチェックに有効なツールです。排卵陽性が出た当日だけでなく、前日や翌日も妊娠の可能性があります。正しい使い方をしているにも関わらず、検査結果に何らかの疑問が生じているときは、早めに医師の診断を受けましょう。

INFORMATION

2024/10/01
休診日:毎週日・月曜日