正しい避妊方法を知って失敗を防ごう!
避妊方法について、皆さんはどのくらいご存じですか?
「コンドームとピルしか知らない」「避妊は彼氏任せでくわしくない」という方もいるかもしれません。しかし、きちんと避妊方法を知っていないと、望まぬ妊娠・予期せぬ妊娠をしてしまう可能性があります。そのような事態を防ぐためにも、正しい避妊方法を知っておくことが大切です。
ここでは、それぞれの避妊方法の特徴やメリット・デメリット、避妊とはいえない危険な行為まで、避妊に関するあらゆることを解説します。
ページの監修医師
池袋アイリス婦人科クリニック
加村和雄(かむらかずお)院長
1998年埼玉医科大学医学部卒業。病院やクリニックにて、日本産科婦人科学会専門医として研鑽を重ね、池袋アイリス婦人科クリニックを開院。
目次
避妊とは?
避妊とは、なんらかの手段を用い、性行為のあとの受精や受精卵の着床を阻止して、妊娠を避けることを指します。避妊方法とは、ここでいう"なんらかの手段"のことで、日本ではコンドームがもっとも一般的な方法だといえるでしょう。
低用量ピルで避妊をしよう
低用量ピルは、女性が主体となって行える避妊法の代表格。毎日飲み忘れることなく内服すれば、100%に近い避妊効果が得られます。また、低用量ピルは避妊以外にも、いくつかの好ましい副効用があるのもポイントです。
低用量ピル/OCの特徴
低用量ピル(OC/oral contraceptives)は経口避妊薬と呼ばれ、女性ホルモンの働きを利用して避妊を行うお薬です。ピルを内服すると、成分として含まれる女性ホルモンの働きによって、排卵が起こらなくなるとともに、子宮内膜の増殖も抑制されます。この2つの作用によって、妊娠を阻止するのです。ピルの避妊効果は、内服を始めてから8日目以降とされているため、内服を始めた最初の1週間程は、他の避妊方法を組み合わせなければなりません。
低用量ピルという名称からもわかるように、お薬に含まれる女性ホルモンの量は、避妊効果を発揮するギリギリの量まで低用量化されており、副作用の心配も最小限に抑えられています。
低用量ピル/OCのメリット・デメリット
低用量ピルは理想的な使用(飲み忘れなくしっかり内服)をしていれば、その失敗率は0.3%です。(日本産科婦人科学会)つまり、きちんと内服していれば、ほとんど失敗することなく避妊が可能で、この避妊率の高さが最大のメリットといえるでしょう。さらに、男性(パートナー)に頼ることなく、女性主体で避妊が行えるという点もポイントです。
気になるデメリットである副作用には、吐き気、むかつき、乳房の張り、乳房の痛み、頭痛、むくみ等が挙げられます。しかしこれらの症状の多くは、内服を開始した直後の一時的なものであり、数日ほどで治まることがほとんどです。(稀に1~2ヵ月続く方もいます)また、心配される重大な副作用の血栓症は、低用量ピルが適用になる体質の健康な方であれば、その発症は極めて稀であり、過度に不安がる必要はありません。
こちらのページで低用量ピルについてくわしく解説しているので、合わせてご参照ください。
【IUD/IUS/ミレーナ】避妊リングについて
避妊リングの特徴
避妊リングには、プラスチック製、金属製、銅付加のもの、黄体ホルモン放出機能付きのものなどの種類があります。銅が付加されていないIUDと銅が付加されたIUD、黄体ホルモンを放出するIUSといった種類によって、避妊率には差があり、もっとも避妊効果が高いのは、黄体ホルモンの働きによって避妊効果を得るIUS/ミレーナです。ミレーナの避妊失敗率は適切な装着によって、0.14%とされています。
池袋アイリス婦人科クリニックでは、避妊リングの内もっとも効果が高いミレーナを取り扱っており、費用はミレーナの挿入で55,000円です。ミレーナの特徴として一度装着すると、その効果が最長5年間続くところにあります。ミレーナ挿入前検査・挿入後の検診にそれぞれ費用がかかるものの、避妊の費用面でいうと低用量ピルよりも安価で済むのも一つの特徴といえるでしょう。
避妊リングのメリット・デメリット【男性にわかる?】
「避妊リングを入れたら男性にわかってしまうかも?」「リングのせいで、パートナーに違和感があったら嫌だな」と考える方もいるでしょう。実際はどうなのかというと、正しい位置に適切に装着されていれば、女性もパートナーも性交時、違和感を覚えることはありません。もし、違和感がある・痛みがある場合は、リングのズレが起こっていると考えられます。
ミレーナのメリットは、前述した費用面の他にも、手間がかからないことが挙げられ、これは非常に大きいメリットです。低用量ピルのように毎日飲まなくてもよく、一度挿入してしまえば検診に行くことだけ守れば、安全な避妊が望めます。では、なにがデメリットなのかというと、挿入のために医療機関に行かなければならないこと、検診を受ける必要があること、抜去も自分でできないことでしょう。しかし、これは安全に使用するために必要なことで、あまり気にならない方が多いようです。こちらのページでミレーナについてくわしく解説しているので、合わせてご参照ください。
その他の避妊法
低用量ピル、避妊リングの他にも避妊法はあります。ここからは、それぞれの避妊方法について簡単にご紹介します。
コンドーム
コンドームは、ゴムやポリウレタン製の薄い膜を勃起した陰茎/ペニスに被せて精子をコンドーム内に留め、卵子と精子が受精するのを防ぎます。日本でもっとも多く使用されている避妊具として認知度が高く、手軽に購入できるメリットがあります。しかし、正しい装着方法で性行為をしたとしても、ピルや避妊リングほど避妊効果が高くありません。
また、女性が主体で行える避妊法ではないこともデメリットといえるのではないでしょうか。ちなみに女性用コンドームも存在するのですが、日本では製造が中止されています。
避妊手術/不妊手術
避妊手術/不妊手術は、卵子や精子の通り道をふさぎ、受精を阻止する避妊法です。女性の避妊手術は、卵管をしばり卵子と精子の受精を防ぎます。(卵管結索術)この手術を行うと、ほぼ確実に妊娠することはありませんが、同時にその後の妊娠も望めなくなる不可逆的なものです。また、手術には入院が必要なこともデメリットといえます。
ペッサリー
ペッサリーは、ドーム状のゴム製器具で腟から挿入して、子宮頸部にかぶせて使用する避妊具です。ご自身の子宮頸部のサイズに合わせてペッサリーが選ばれるため、医師によってサイズの確認と挿入の方法を教えてもらう必要があります。日本では、避妊目的のペッサリーはあまり普及していません。避妊率もピル・避妊リング・コンドームと比べると低いです。
リズム法
リズム法は生理周期によって起こる女性の身体の変化によって、妊娠しやすい日と妊娠しにくい日を予測する方法です。これは、あくまでも予測するものなので、避妊方法というにはあまりにも不確実で、これだけで避妊を行うのは危険です。他の避妊法と組み合わせ、補助的なものとして捉えるといいでしょう。
アフターピル=緊急避妊薬について
「避妊に失敗したかも」「避妊をせずに性行為をした」というときに、望まぬ妊娠を防ぐ最終手段がアフターピルと呼ばれる緊急避妊薬です。
アフターピルの特徴
アフターピルは、性行為後24時間以内に服用することで、95%の避妊効果が期待できます。また、性行為後72時間以内ではおよそ80%の確率で避妊ができるとされており、内服が早ければ早いほど避妊効果を発揮するお薬です。アフターピルを内服すると排卵後に似た体内環境を作り出し、卵子の発育や排卵が抑制されたり、受精卵の子宮への着床が阻止されたりして妊娠が妨げられます。さらに、精子が子宮内に侵入するのを阻止する効果があるため、妊娠を防げる効果が期待できるのです。
アフターピルも低用量ピルと同様の副作用があります。以前のアフターピルは、副作用が強い傾向にありましたが、近年のアフターピルの主な方法であるレボノルゲストレルは副作用が少ないです。それでも、吐き気、嘔吐、頭痛、乳房の張り、倦怠感などがあり、特に吐き気は比較的症状を感じる人が多いことで知られています。
アフターピルのメリット・デメリット
アフターピルのメリットは、内服が早ければ早いほど避妊効果が高いことです。一方のデメリットは、副作用の吐き気がある場合、嘔吐してしまうと確かな避妊効果が得られないままお薬が体外に出てしまう可能性があること。もし、アフターピルを内服後2時間以内に嘔吐した場合は、再度医師の診察を受け、追加で飲む必要があるのか検討する必要があります。さらに、アフターピルを内服した後の生理は、一時的に不順になることも知られており、このこともデメリットといえるのではないでしょうか。
こちらのページでアフターピルについてくわしく解説しているので、合わせてご参照ください。
「避妊失敗!?」避妊ではない行為一覧
ここまで、避妊方法をご紹介してきましたが、世の中には間違った認識をしている方も多いです。避妊法だと思っているものの中に、実は違うものが混ざっているかもしれません。今一度、確認してみましょう。
腟外射精/外だしをすれば大丈夫?
「性行為時の射精を腟外で行えば妊娠しない」「外だししたから妊娠しない」これは、まったくの間違いです。勃起した陰茎/ペニスからは射精の前から、カウパー液という精子を含んだ液が出ており、性行為中も精子と卵子が受精する機会があります。射精のときに外に出したからといって避妊できないので、注意してください。
性行為後に洗えば大丈夫?
性行為後にビデで洗った、シャワートイレで洗い流したというのも、避妊法ではありません。前述のように、精子と卵子は性交中に受精の機会が多くあります。射精のあとに洗い流しても、何の意味もありません。
安全日の性行為なら大丈夫?
生理周期から、排卵日を過ぎて高温期に入り4日を過ぎた頃が「安全日」という認識が定着しているようです。しかし、排卵日を特定することは困難で、確実に排卵日がわかるわけではありません。また生理周期は乱れやすく、安定して安全日が予測できるものではないのです。確実に安全といえる真の意味での「安全日」は、存在しないといえるでしょう。
避妊は心配しすぎくらいが良い
避妊は望まぬ妊娠を防ぐためにも、「心配しすぎる」くらいで良いのではないでしょうか?しかし、セックスはパートナー同士の愛情を確かめ合う大事な行為であり、避妊のせいで楽しめないのでは本末転倒です。それを防ぐためにも、正しい避妊を理解し、しっかりと確実な方法で行うのがベスト。予期せぬ妊娠に心を痛める前に、ご自身にあった避妊方法を選びましょう。
池袋アイリス婦人科クリニックでは、低用量ピル・ミレーナ・アフターピルを取り扱い、患者様のQOL(生活の質)のさらなる向上を目指しております。避妊法について不安がある、どの避妊法が合うのかわからないなど、避妊に疑問がある患者様のご質問・ご相談にも親切丁寧にお応えいたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。
避妊に関するよくあるご質問
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50歳なのですが、避妊は必要でしょうか?
患者様のお身体の状況によって、異なります。すでに閉経を迎えている場合には、避妊は不要ですが、1年以内に生理があった場合は、念のため避妊をしたほうがいいでしょう。40歳以上の方の望まぬ妊娠・予期せぬ妊娠は非常に多く、中絶手術をお受けになる方が増加している事実もあります。避妊についてご不明点、疑問点がありましたら、お気軽に池袋アイリス婦人科クリニックにご相談ください。
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コンドームを付けていても妊娠することはあるのですか?
はい。コンドームを付けていても妊娠することがあります。コンドームが古くゴムが劣化していたり、穴が開いていたりすることも考えられますし、性行為の途中から装着した、装着方法が適切でなかったことも考えられるでしょう。より確実な避妊方法をご検討であれば、低用量ピルやミレーナがおすすめの方法です。低用量ピル・ミレーナなら100%に近い確率で安心安全に避妊ができます。どちらの避妊法についても、池袋アイリス婦人科クリニックで承っておりますので、ぜひご相談ください。
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性行為後にコンドームが破れたことに気付きました。妊娠の可能性はありますか?
はい。妊娠の可能性が否定できない状況です。その性行為後、お時間が経っていないのであれば、アフターピル(緊急避妊薬)の服用で避妊を阻止できる可能性が高いといえます。アフターピルは、いかに早く内服できるかが、避妊確率を上げる重要なファクターです。なるべく早く、池袋アイリス婦人科クリニックにご連絡ください。アフターピルの処方をご希望の患者様は、お電話でのご予約の方がスムーズです。
INFORMATION
- 2024/11/01
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