ミニピルとは
ミニピルは、黄体ホルモン(プロゲステロン)単独を配合した経口避妊薬です。避妊効果のほか、月経に関連するさまざまなトラブルの改善も期待されています。
これまでミニピルは、欧米では複数国で承認・認可が下りていたものの、日本では未承認の薬剤でした。しかし、日本初の承認ミニピル「スリンダ®」の登場(2025年6月)により、国内でも安心して選べる選択肢が広がってきています。
池袋アイリス婦人科クリニックでは、スリンダをはじめとしたミニピルの処方を行っています。初診・再診を問わず予約が必要ですので、Webまたはお電話から事前にご連絡のうえ、ご来院ください。
日本初の承認薬スリンダ
2025年6月30日、あすか製薬株式会社より、日本で初めて製造販売承認を受けたミニピル「スリンダ®(Slinda®)」が発売されました。
スリンダは、有効成分として合成黄体ホルモン「ドロスピレノン」を配合したミニピルです。ドロスピレノンは、欧米を中心に60カ国以上で使用されており、安全性と有効性が確認されています。
ドロスピレノンは、日本国内でもヤーズ®やヤーズフレックス®といったピルに含まれる成分として知られており、安全性や効果に対する信頼性も高い成分です。
ページの監修医師

池袋アイリス婦人科クリニック
加村和雄(かむらかずお)院長
1998年埼玉医科大学医学部卒業。病院やクリニックにて、日本産科婦人科学会専門医として研鑽を重ね、池袋アイリス婦人科クリニックを開院。
目次
生理やPMSに効果のあるミニピル
ミニピルは、高い避妊効果があるだけでなく、月経痛や月経前症候群(PMS)、子宮内膜症などの月経トラブルの緩和にも活用されています。
黄体ホルモン(プロゲステロン)単独の経口避妊薬で卵胞ホルモン(エストロゲン)を含まないため、体質や生活習慣により低用量ピルが服用できない方や、血栓症のリスクを抑えたい方に選ばれています。
ミニピルの主な効果4つ
- 約99%の避妊効果
- 月経痛の緩和
- 月経前症候群(PMS)の改善
- 子宮内膜症の治療
①約99%の避妊効果 | 子宮頸管粘液の性状を変化させて精子の侵入を防ぎ、子宮内膜を薄くして受精卵の着床を防ぎます。正しい服用を継続すれば、避妊率は低用量ピルと同等の約99%と報告されています。 |
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②月経痛の緩和 | 排卵の抑制や子宮内膜の増殖を抑える作用により、経血量が減り、月経に伴う痛みも軽減されます。服用初期には不正出血が見られる場合がありますが、通常は数週間から数カ月で落ち着いていきます。 |
③月経前症候群(PMS)の改善 | PMSの原因の一つはホルモンバランスの急激な変化ですが、ミニピルを服用することでホルモン状態が安定し、気分の浮き沈みやイライラ、腹痛などの症状が和らぐケースがあります。 |
④子宮内膜症の治療 | 子宮内膜の増殖を抑える作用により、子宮内膜症に伴う痛みや過多月経の改善が期待できます。治療目的で使用されることも増えています。 |
ミニピルの正しい飲み方
ミニピルは月経開始の1日目からスタートし、毎日決まった時間に1錠を服用します。食前や食後など服用時の決まりはないため、ご自身が服用を継続しやすい時間帯を設定してください。
いつもの服用時間から数時間ずれると、正しい効果を得られない可能性があります。日々の習慣とセットにする、アラームを設定するなどして飲み忘れを防ぎましょう。
ミニピルを飲み忘れた場合の対応
飲み忘れに気づいた場合は、できるだけ早く飲み忘れた分の1錠を服用し、その後は通常どおりの時間に次の錠剤を飲んでください。
24時間以内に2錠を服用することになっても、身体への大きな影響は基本的にありません。
予定時刻から12時間以上経過してしまった場合は、避妊効果が大きく低下する可能性があります。その場合は、飲み忘れに気づいた時点から7日間はコンドームを併用するなど、追加の避妊対策を行ってください。
休薬期間のあるスリンダ
日本で初めて承認されたミニピル「スリンダ®」は、実薬24錠と偽薬4錠を含む1シート28錠タイプです。偽薬(有効成分を含まない錠剤)は、服薬リズムを維持しやすくするために設計されており、飲み忘れ防止にもつながります。
従来のミニピルには偽薬、つまり実質的な休薬期間がなく、これまで別のミニピルを服用していた方は、休薬期間のあるスリンダに戸惑うことがあるかもしれません。
しかし、スリンダも他のミニピルと同様に、28日間連続で服用するタイプの薬剤です。偽薬期間中も毎日1錠ずつ服用を続け、1シートを飲み終えた翌日からは、次のシートの1錠目をスタートします。服用方法についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。
ミニピルの副作用
ミニピルの服用により、以下のような副作用が現れることがあります。
副作用 | 月経不順、不正出血、不安感など |
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服用初期(とくに1〜3カ月間)は、身体がホルモン変化に慣れるまでの間、不正出血や月経周期の乱れが起こる場合があります。
これらの症状はほとんどが一過性で、継続の服用により徐々に落ち着いていきます。ただし、症状が長引いたり日常生活に支障が出たりする場合は、自己判断で中止せず医師にご相談ください。
ミニピルのメリットとデメリット
ミニピルはエストロゲンを含まないため、低用量ピルの服用が難しい方にもご利用いただけます。一方で、毎日同じ時間に服用する必要があるため、ご自身のライフスタイルや体質に合わせて選択することが大切です。
メリット
- ・血栓症のリスクが非常に低い
- ・低用量ピルが服用できない方も使用可能
- ・授乳中でも服用できる(母乳に影響がない)
- ・避妊以外の効果も期待できる
デメリット
- ・毎日同じ時間に服用する必要がある
- ・服用初期は不正出血が起こりやすい
- ・治療目的であっても保険適応にならない
- ・取り扱いクリニックが少ない
ミニピルと低用量ピルの違いは?
ミニピルと低用量ピルの最大の違いは、配合されている女性ホルモンの種類です。
ミニピルが黄体ホルモン(プロゲステロン)のみを含有しているのに対し、低用量ピルは黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類を有しています。
黄体ホルモンのみにすることで、血栓症のリスクが減少し、低用量ピルの服用が難しいとされているBMIが30以上の方、40歳以上の方、喫煙者の方、授乳中の方も服用が可能です。
ミニピルの種類と値段
セラゼッタ | 3,300円 |
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アザリア | 3,200円 |
スリンダ | 4,500円 |
※費用は税込みです。
※セラゼッタ・アザリアは日本未承認の医薬品のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
ミニピルのよくあるご質問
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ミニピルの服用をやめたら、次の生理はいつきますか?
月経が再開するまでの期間には個人差がありますが、約3~4カ月で月経が元の周期に戻ります。
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40代ですが、ミニピルを飲んでも問題ありませんか?
はい、ミニピルはエストロゲンを含まず血栓症リスクが低いため、医師の診断のうえ40代以上の方でも服用いただけます。現在低用量ピルを使用されている方も、必要に応じてミニピルへの切り替えが可能ですので、池袋アイリス婦人科クリニックまでお気軽にご相談ください。
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ミニピルの副作用である不正出血が心配です。いつまで続きますか?
ミニピルの服用開始から3カ月程度は、不正出血が起こりやすいですが、通常は服用を続けるうちに自然に治まります。もし2週間以上出血が続く場合や、出血量が多い場合は、医師にご相談ください。また、決めた服用時間から大きくずれると再び不正出血が起こる場合があるため、服用時間はきちんと守りましょう。
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ミニピルの処方には予約が必要ですか?
はい、池袋アイリス婦人科クリニックでは、初診・再診を問わずミニピルの処方は予約制となっております。Webまたはお電話からのご予約をお願いいたします。
INFORMATION
- 2025/06/11
- 7月:休診日なし
8月休診日:24日、26日