流産が判明した際「どうして起こったのか」「これからどのような処置が必要なのか」と不安を抱える方は少なくありません。
流産は胎児の状態などによって複数の種類があり、状況に応じた適切な処置が必要です。
パニックになったり、自分を責めたりしやすい時期ですが、正しい情報を手に入れて、できるだけ冷静に行動しましょう。
この記事では、自然流産の種類や処置方法について、産婦人科専門医が解説します。
ページの監修医師

池袋アイリス婦人科クリニック
加村和雄(かむらかずお)院長
1998年埼玉医科大学医学部卒業。病院やクリニックにて、日本産科婦人科学会専門医として研鑽を重ね、池袋アイリス婦人科クリニックを開院。
目次
流産とは
流産は、妊娠22週より前に胎児が死亡し、妊娠が終了する状態を指します。
妊娠22週以前に出生した胎児は子宮外で生存できないため、この週数より前に妊娠が終了した場合はすべて流産に分類されます。
妊娠したことがある女性のうち、38%が流産を経験しているという報告もあり、決して珍しいものではありません。
妊娠12週未満の早期流産は、ほとんどが胎児側の先天的なトラブルによるもので、実際に約80%で染色体異常がみられます。
胎児が成長を続ける力が十分ではなかったことが原因で、母体の生活習慣や体質が影響する可能性はごくわずかです。
そのため、一度流産を経験しても、その後も繰り返しやすくなるわけではありません。
自然流産の種類
流産には、自然に妊娠が終了する「自然流産」、中絶手術によって妊娠を終了する「人工流産」、感染が理由で起こる「感染流産」があります。
このうち最も多い自然流産は、症状や進行の状態によって次の5つに分類されます。
- 1.完全流産
- 2.進行流産
- 3.稽留流産
- 4.切迫流産
- 5.化学流産
1.完全流産
胎嚢や胎児の組織など、子宮内の内容物がすべて自然に排出された状態です。
腹痛や出血があっても症状が落ち着いていれば、基本的に治療は不要で、経過観察のみとなります。必要に応じて子宮収縮剤を使用する場合があります。
2.進行流産
子宮の収縮が始まり、内容物が排出されている途中の状態です。
すべて排出されれば完全流産となりますが、一部が子宮内に残った場合は「不全流産」となります。
不全流産では出血が続いたり、陣痛のような痛みが強くなるケースもあるため、流産手術が必要になる場合があります。
3.稽留流産
胎児が発育を停止したあとも、子宮内に留まっている状態です。
出血や腹痛などの自覚症状がほとんどないため、妊婦健診の超音波検査で初めて分かる場合も多いです。
処置は、自然に排出されるのを待つ方法と、流産手術のいずれかを選択します。
4.切迫流産
出血や腹痛がみられ、流産に進行する可能性がある状態です。胎児は子宮内に残っており、妊娠を継続できる可能性があります。
妊娠12週未満では染色体異常によるケースが多く、治療薬などによる確実な流産の予防はできないため、安静にして経過をみます。
状況に応じて子宮収縮剤の投与や入院が必要になる場合があります。
5.化学流産
妊娠検査薬では陽性反応が出たものの、医療機関の超音波検査で胎嚢(たいのう:妊娠初期に形成される、赤ちゃんを包む部屋)が確認できない状態です。ごく早い時期に妊娠が終了した状態で、医学的な「流産」の定義には含まれません。
受精卵はいったん着床したものの、胎嚢が確認できる前に妊娠が終了するため、治療は必要ありません。月経と区別がつかず、流産に気がつかないケースもあります。
流産となった場合の処置
化学流産を除き、流産と診断された場合は手術による処置、または自然排出を待つ方法のいずれかを選択します。
流産手術
流産手術には、子宮内の組織を器具で除去する掻爬(そうは)法と、吸引器を用いて取り除く吸引法があります。吸引法のほうが子宮への負担が少ないとされ、世界的にも広く採用されています。当クリニックでも吸引法を推奨しています。
吸引法には EVA(電動吸引) と MVA(手動吸引) があり、MVAは手動で吸引圧を細かく調整できるため、痛みや子宮へのダメージが少ない点が特徴です。使い捨て器具を使用するため、感染リスクも抑えられます。
自然流産の手術は短時間で終わることが多く、日帰りでの実施が可能です。
ただし、妊娠12週以降の流産(いわゆる中期〜後期流産)では、子宮収縮剤を用いた分娩に近い管理が必要になるため、入院での対応が一般的です。
自然排出
手術を行わず、子宮の内容物が自然に排出されるのを待つ方法です。自然排出にかかる時間には個人差があり、数日〜数週間かかる場合もあります。
トラブルが発生したり、排出が不完全だったりした際は、流産手術が必要になります。
処置内容の違いとメリット・デメリット
| 流産手術 | 自然排出 | |
|---|---|---|
| 実施時期 | 妊娠初期~中期 | 主に妊娠初期 |
| 所要時間 | 約10~20分 | 数日~数週間 |
| メリット |
・計画的かつ短時間で排出を完了できる ・確実に排出が可能 ・追加治療が不要 |
・手術費用が不要 ・手術による体への負担やリスクがない |
| デメリット |
・手術費用がかかる ・手術や麻酔のアレルギーなどのリスクがある |
・痛みや大量出血の可能性がある ・いつ排出されるか予想が困難 ・場合によっては手術が必要 |
流産手術
| 実施時期 | 妊娠初期~中期 |
|---|---|
| 所要時間 | 約10~20分 |
| メリット |
・計画的かつ短時間で排出を完了できる ・確実に排出が可能 ・追加治療が不要 |
| デメリット |
・手術費用がかかる ・手術や麻酔のアレルギーなどのリスクがある |
自然排出
| 実施時期 | 主に妊娠初期 |
|---|---|
| 所要時間 | 数日~数週間 |
| メリット |
・手術費用が不要 ・手術による体への負担やリスクがない |
| デメリット |
・痛みや大量出血の可能性がある ・いつ排出されるか予想が困難 ・場合によっては手術が必要 |
池袋アイリス婦人科クリニックの特徴
当クリニックでは、プライバシーに配慮した環境で、流産手術や中絶手術、ピル処方など幅広い婦人科医療を提供しています。池袋東口から徒歩0分の立地にあり、土日祝日も19時まで診療しているため、忙しい方でも通院しやすい体制です。
流産手術は掻爬法と吸引法の両方に対応しており、患者様の状態や希望に合わせて適切な方法を選択できます。
また、令和7年4月から開始された、こども家庭庁「妊婦のための支援給付」制度に基づく診断書の発行にも対応しています。妊婦支援給付金は、流産・死産等をされた方も対象になりますので、詳細はこども家庭庁「給付金と相談窓口のご案内」(PDF)をご確認ください。
流産手術に関するよくある質問
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流産手術後はどの程度安静が必要ですか?
少なくとも、手術後2〜3日は無理のない範囲で安静に過ごしてください。翌日以降、軽い家事やデスクワークなど体への負担が少ない作業は可能です。しかし、頭痛・下腹部の張り・情緒不安定さなどが出る場合があるため、体調に合わせて休息を取りましょう。手術当日の入浴は控え、翌日から1週間程度は感染予防のためシャワーのみとしてください。
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流産手術の痛みはどの程度ですか?
手術中は麻酔を使用するため、痛みはほとんど感じません。
ただし、前処置として子宮頸管を広げる際に痛みを伴いやすく、手術後は子宮が回復する過程で生理痛に似た痛みが出ることがあります。当クリニックでは、痛みを感じやすい前処置は麻酔が十分に効いてから行い、患者様のご負担を最低限にしています。 -
流産手術を受けた後はいつ生理が再開しますか?
一般的には、手術後およそ1〜1.5カ月で再開しますが、個人差があります。また、流産手術後はホルモンバランスが一時的に乱れるため、しばらくは周期が不安定になる場合があります。当クリニックでは術後の生理に関するご相談も受け付けていますので、ご安心ください。
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流産手術後は妊娠しやすくなるのは本当ですか?
流産手術を行うと妊娠しやすくなる、という明確な医学的根拠はありません。一部では「手術で子宮が整う」といわれることがありますが、そのようなデータはなく、手術自体が妊娠率を高めるものではありません。手術後はホルモンバランスが乱れやすく、子宮内膜が薄くなる時期もあるため、次の妊娠を考える場合は、生理が2回ほど戻り、体調が安定してからが望ましいとされています。
INFORMATION
- 2026/01/09
- 2月の休診日は12日(木)となります。
- 2025/11/06
- 【年末年始の営業に関して】
12/31の営業時間は9:00 ~ 18:00までとなります。通常の診療時間と異なりますのでご了承ください。
1/1~1/3は休診とさせていただきます。
※1/3はお電話にてお問い合わせ対応可能です。