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HIV(エイズウイルス)感染症の症状・検査・感染経路・感染率について

HIV感染と、エイズを発症することは同じではない。現在はHIV感染後も、適切な治療を受けることでエイズの発症を抑え、通常の生活を送ることが可能!

HIV(エイズウイルス)は、エイズ(AIDS/後天性免疫不全症候)の発症原因として知られる「ヒト免疫不全ウイルス」です。

感染者の報告数が毎年増加していた2000年代前半に比べ、ここ数年は報告数の横ばいが続いています。しかし、HIVは感染しても無症状の期間が長い「慢性感染症」です。HIV感染者だと気づいていない人の数は相当数いると推測され、実際のHIV感染者数は、報告数を大きく上回っていることが確実視されているのです。

感染に気づいた時にはすでにエイズを発症している、いわゆる「いきなりエイズ患者」も、毎年400人超報告されています。今やHIVの感染リスクは誰にでもあります。その予防のためにも、HIVに関する正しい知識を身につけておきましょう。

ページの監修医師

ページの監修医師加村和雄院長

池袋アイリス婦人科クリニック 加村和雄(かむらかずお)院長

1998年埼玉医科大学医学部卒業。病院やクリニックにて、日本産科婦人科学会専門医として研鑽を重ね、池袋アイリス婦人科クリニックを開院。

目次

HIV(エイズウイルス)とは

HIVとは、後天性免疫不全症候(エイズ)を引き起こすヒト免疫不全ウイルスです。人の免疫システムにおいて中心的な役割を担う「Tリンパ球」や「マクロファージ(CD4陽性細胞)」に感染します。

HIVは大きく「1型」と「2型」に分かれます。

HIV-1 日本を含めた世界中に拡散。HIV-2よりも感染力が強い
HIV-2 HIV-2 西アフリカのほか、フランス、アメリカ、西インド、韓国など一部地域で感染が確認

現在の世界的なエイズの流行はHIV-1によるものです。HIV-2は一部地域でのみ感染報告が確認されています。

HIVとAIDS(エイズ)の違いは?

HIVとエイズを混同される方が数多くいますが、HIV感染と、エイズを発症することは同じではありません。HIVに感染したからといって、すぐにエイズを発症するわけではないのです。

HIV感染症は無症状の期間が長い慢性感染症です。もちろん個人差があり、感染から15年近く経ってもエイズを発症しない人もいれば、2年程度でエイズを発症してしまう方もいます。

エイズを発症すると、通常ならば病気を起こさないはずの病原菌に感染してしまう「日和見感染症(ひよりみかんせんしょう)」や、悪性腫瘍の発症を引き起こすなど、命に係わる重篤な免疫不全に陥ります

しかし、現在はHIV感染後も、適切な治療を受けることでエイズの発症を抑え、通常の生活を送ることが可能となっています。

HIVの感染経路

HIVの感染経路は、以下の3つです。

  • ・性交渉による感染
  • ・血液を介した感染
  • ・母子感染

性交渉を介したHIV感染

現在、国内におけるHIV感染は、その多くが性交渉を介したものとなります。

HIVは血液、精液、腟分泌液、腸粘液などに多く含まれており、性行為を通じて相手の粘膜や傷口にウイルスが伝播し、HIVに感染するのです。

粘膜は傷つきやすく、出血もしやすくなっています。そのためオーラルセックスやアナルセックス、同性間の性交渉など、幅広い性行為でHIVの感染リスクがあります。また、その他の性感染症に感染していると、HIVの感染率が高くなるといわれています。

血液を介したHIV感染

血液を介したHIV感染リスクは、注射針を共用したドラッグの打ちまわしや、医療現場での針刺し事故などです。

かつて、日本では「薬害エイズ事件」が発生しましたが、現在は厳格なHIV検査を実施しているため、輸血による国内でのHIV感染はほぼ発生していません。それに伴い、国内における血液を介したHIV感染も減少しています。

HIVの母子感染

妊婦がHIVに感染していると、胎内感染や出産時の産道感染、母乳哺育による感染で胎児や新生児がHIVに感染するリスクがあります。

しかし、HIVの母子感染予防対策が整った現在は、母子感染によるHIV感染率は0.5%未満まで低下しており、適切な検査・治療を行うことで、母子感染リスクは極めて低く抑えることが可能です。

キスやせき・くしゃみでHIVに感染する?

通常のキスやせき、くしゃみなどでHIVに感染することはありません

HIVは血液、精液、腟分泌液などに多く含まれています。その一方で、唾液や涙、尿などには、ほかの人に感染させるだけのHIVは存在しないのです。

HIVの感染率

HIVに感染する可能性のある行為とその感染率は、およそ以下の通りだといわれています。

HIVの感染経路と確率
  • ・汚染された血液による輸血:80%~90%
  • ・汚染された血液が付着した注射針の共有:0.5%~
  • ・HIV感染者とのアナルセックス(受け入れ側):0.5%
  • ・汚染された血液が付着した注射針の針刺し事故:0.3%
  • ・HIV感染者との腟性行(女性側):0.1%~
  • ・HIV感染者との腟性行(男性側):0.1%以下
  • ・HIV感染者とのアナルセックス(挿入側):0.1%以下
  • ・HIV感染者とのフェラチオ(受け入れ側):0.1%以下
  • ・HIV感染者とのフェラチオ(挿入側):0.1%以下

コンドームを使わない性行為による感染率は、約1%前後。避妊以外の目的としても、コンドームは使用したほうがよい。

コンドームを使わない性行為による感染率は、約1%前後だと考えられています。

ただ、これらの数値はあくまで目安です。厚生労働省の「エイズ対策政策研究事業」を担う研究班が運営する「HIV検査相談マップ」でも、コンドームの使用状況やほかの性感染症の感染状況により感染確率が変わることを指摘しています

1回のコンドームなしのセックスでも感染した人はいるため、感染の確率はあくまでも目安となります。また、他の性感染症(梅毒、淋病、クラミジアなど)に感染していると、粘膜に炎症を起こしやすくなり、感染の確率がさらに数倍増加します。

引用:HIV検査相談マップ

日常生活でのHIV感染リスクについて

HIVは精液や腟分泌液、血液などを介して感染します。
そのため、性交渉や注射針の共用、刺青・ピアスなどで使用する医療器具の使いまわしで、HIVに感染する可能性があります。また血液が付着したタオルやカミソリ、歯ブラシの共用でも感染リスクがあります。

しかし、それ以外の日常生活で、HIVに感染する可能性はほぼないため、ご安心ください。

出血する可能性のある行為として、歯科での治療や鍼灸治療、理髪店(カミソリ)などがありますが、これらは業界として徹底した感染予防対策が取られています。 食べ物や飲み物を通してHIVに感染することも、キスやくしゃみなどでHIVに感染することもありません

恋人がHIVになったら

近年では、HIVの治療を続けているHIV感染者との性交渉であれば、HIV感染することもほとんどないことも確認済み。パートナーがHIVに感染していたとしても、お互いの理解があれば、性交渉が可能。

パートナーがHIVに感染しているとわかれば、不安を感じるのは当然です。

しかし、HIVの治療法が進歩した現在は、仮にパートナーがHIVに感染していたとしても、お互いの理解があれば、性交渉が可能ですし、生涯のパートナーとして出産、子育てを行うことも可能です。

HIVは従来の「死に至る病」というイメージから、「慢性疾患」という側面が強くなっています。近年では、HIVの治療を続けているHIV感染者との性交渉であれば、HIV感染することもほとんどないことも確認されています。

HIV(エイズ)ノイローゼについて

「自分がHIVに感染したかもしれない」という強い不安から、不眠症になったり体調不良を引き起こしたりすることを、俗に「HIVノイローゼ(エイズノイローゼ)」などと呼ぶことがあります。

少しでもHIVに感染した可能性があると思うのであれば、プライバシーを厳守してくれる自治体や保健所、医療機関などに、一度相談してみましょう。またエイズに関する正しい知識の発信、感染者の支援などを行う公益法人やNPO法人も複数あります。

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診療時間 10:00~19:00
※最終受付 18:30

エイズはすぐに発症しない?HIVの潜伏期間

個人差はありますが、HIVに感染すると、エイズの発症まで数年から十年以上かかります。ただ、近年は感染してから短期間でエイズを発症する人が増えているともいわれています。

HIVに感染後、治療を開始しない場合、エイズ発症までに以下の経過をたどります。

  • ・感染初期(急性期)
  • ・無症候期
  • ・エイズ発症期

HIV感染後の症状について

HIVに感染すると、「感染初期」「無症候期」「エイズ発症期」で異なる症状が現れます。

皮膚に症状が現れるHIV初期症状

HIVの初期症状は主に皮膚疾患。少しでも心当たりや不安がある方は、一度HIV検査を受けてみてください。

HIVに感染すると、2週間~6週間程度で感染初期(急性期)の症状が、半数以上(50%~90%)の人に現れるといわれています。

感染初期の症状は発熱やリンパ節の腫れ、頭痛、筋肉痛など、インフルエンザや風邪にも似ているため、これだけでHIV感染だと気づくことは困難です。ただ、HIV感染初期の特徴として、以下のような皮膚の症状が挙げられます。

HIV感染初期の特徴
  • ・急性期皮疹
  • ・帯状疱疹
  • ・単純ヘルペス
  • ・脂漏性皮膚炎
  • ・脂漏性皮膚炎

いずれもHIV特有の症状とは言えませんが、少しでも心当たりや不安がある方は、一度HIV検査を受けてみてください。

10年以上続くこともある無症候期

HIV感染初期の症状が治まると、続いて「無症候期」に入ります。

この期間、目立った症状はありません。しかし、体内ではHIV がTリンパ球に感染しつづけ、免疫システムを支える細胞が次々に死滅していきます。

エイズを発症するとどうなる?

無症候期にTリンパ球の数が減少し続け、免疫不全状態になると、エイズを発症します。

エイズになると、普段ならかかることのないさまざまな病気にかかりやすくなります。さらに悪性腫瘍や神経障害なども発症するようになるのです。

厚生労働省はエイズの診断基準として23の疾患を指定しており、23のうち1つでも発病した時点でエイズと診断されます。

参考:後天性免疫不全症候群|厚生労働省

エイズを発症させないため、早期のHIV検査を

HIVに感染した場合、大切なことはエイズを発症させないことです。そのためにも早期のHIV検査を行いましょう。

HIV検査はいつからできる?

HIV感染が疑われる場合でも、感染機会から数ヵ月様子を見たうえで、保健所や医療機関にご相談を。

HIVは、感染から1ヵ月~3ヵ月は検査を行っても陰性(HIVに感染していない)と判断されてしまいます

そのため、HIV感染者と性交渉を行ったからといって、すぐに検査を受けても、正確な診断ができない可能性があります。

HIV感染が疑われる場合でも、感染機会から数ヵ月様子を見たうえで、保健所や医療機関にご相談ください。また定期的なHIV検査もお勧めします。

池袋アイリス婦人科クリニックでは、HIVの定期検査を承っております。お電話・WEB予約どちらも可能ですので、ご希望の方は当クリニックまでお問い合わせください。

HIV検査の種類

HIVの検査方法は、主に以下4種類となります。

HIVの検査方法
  • ・抗体検査
  • ・核酸増幅検査(NAT検査)
  • ・抗原検査
  • ・抗原抗体同時検査

HIV検査の流れ

HIVの検査では、まず「スクリーニング検査」を行い、そこで陽性となった場合は改めて「確認検査」を行います。

スクリーニング検査は即日で結果が出ますが、偽陽性の判定が出る可能性もあります。そのためスクリーニング検査で陽性反応が出たとしても、必ず確認検査を行い、陰性・陽性の確定診断を行います。

市販のHIV検査キットは信頼できる?

「HIV検査キット」の中には信頼度の低い郵送検査も。また、陽性反応が出た場合は、改めて医療機関でスクリーニング検査、および確認検査を行う必要があるため、まず医療機関で検査をした方が効率的。

インターネット通販などで「HIV検査キット」が市販されている例が見受けられますが、検査は医療機関で実施することを強く推奨します。

これらの検査キットは、「郵送検査」と呼ばれる手法で、利用者が自ら採血した血液を、民間会社でスクリーニング検査するものとなります。

匿名で、他人と顔を合わせず検査できるというメリットはありますが、その信頼度は検査を行う会社によって異なり、中には信頼度の低い郵送検査もあります。さらに、陽性反応が出た場合は、改めて医療機関でスクリーニング検査、および確認検査を行う必要があるのです。

保健所や医療機関でも、検査希望者のプライバシーは厳守されます。池袋アイリス婦人科クリニックでも患者様のプライバシーに最大限配慮したうえで、HIV検査を行うことが可能です。ご希望の方は、ぜひ当クリニックまでご相談ください。

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HIV感染症の治療

現在の医療で、感染したHIVを体内から完全に排除できる治療方法はありません。しかし、HIVの増殖を抑え、エイズの発症を防ぐことは可能となっています。

またHIV治療を続けることで、健常時とほぼ変わらない生活を送ることでき、HIVに感染していない方とそん色ない寿命も期待できます。

HIV感染症/エイズの治療は抗HIV薬

HIVの治療は、早期に抗HIV薬を投与することが大切。現在では1日1回1錠で、エイズの発症とほかの人への感染リスクを大きく減らせるように。

HIVの治療は、早期に抗HIV薬を投与することが大切です。抗HIV薬によってエイズの発症を抑えることができるためです。

抗HIV薬は、さまざまな種類がありますが、大きくは5種類に分かれます。

  • ・核酸系逆転写酵素阻害剤
  • ・非核酸系逆転写酵素阻害剤
  • ・プロテアーゼ阻害剤
  • ・インテグラ―ゼ阻害剤
  • ・侵入阻害剤

これら抗HIV薬を3剤以上併用しますが、現在では1錠の中に3剤以上の成分が入った薬があります。そのため1日1回1錠で、エイズの発症とほかの人への感染リスクを大きく減らせるようになっています。

抗HIV薬は副作用が強い?

以前の抗HIV薬は副作用が強く、服薬すると体調が悪化するケースもありました。

しかし現在では、副作用の少ない薬や抗HIV治療法が登場し、HIV患者の負担も軽減されています。

エイズは現在も不治の病?予防ワクチンは?

HIV感染症、およびエイズは、現在の医療でも完治はできません。またHIV感染から守る予防ワクチンも生まれていません。

それでも、治療薬や治療法が進歩したおかげで、HIVに感染しても、継続的な治療で、通常の日常生活を送ることができるようになっています。

もちろん、大切なことはHIVに感染しないことです。そのためにも、普段から性交渉時にはコンドームを正しく使用し、また不特定多数の方と性行為を行わないよう、心がけましょう。

HIVに関するよくあるご質問

  • HIV検査はどこで受けることができますか?

    HIV検査は全国各地の保健所のほか、婦人科・性病科・泌尿器科など各医療機関でも受けることが可能です。池袋アイリス婦人科クリニックでも患者様のプライバシーを厳守したうえで、HIV検査を実施しております。

  • HIVの検査・治療は保険が適用されますか?

    HIV感染やエイズの症状が出ている場合、あるいはクラミジアや梅毒などほかの性感染症の症状が出ている場合は、医療機関でも保険適用される場合があります。症状が出ていない方や、保険組合からの通知などを受けたくないという方でも、自費診療で検査を受けることが可能です。

  • 妊娠中にHIV検査で陽性となりました。必ず母子感染してしまうのでしょうか?

    いいえ。必ず母子感染するということはありません。現在はHIVの母子感染予防対策が徹底されているため、母子感染する確率は0.5%未満といわれるほど低下しています

  • HIV感染者に女性が少ないって本当ですか?

    国内HIV感染者の男女比を見ると、男性の方が多いことは事実です。厚生労働省が発表した2018年の国内発生動向を見ても、日本国籍男性が80%を占めていました。しかし、女性の感染者数も横ばいが続いており、「女性だからHIVに感染しにくい」というわけではありません。

  • HIV感染者でも、コンドームを使用すれば性交渉は可能ですか?

    コンドームに限った話ではありませんが、正しい感染予防対策を行ったうえで、性交渉を行っているHIV感染者の方は少なくありません。また抗HIV治療を継続すれば、セックスで他の人にHIV感染させないことも、世界中の専門家や専門機関から認められています。

INFORMATION

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10/10(月)は臨時休診日です。
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2022/6/1
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